~この記事は2012年、現地インターンをされていた、秋塲 優歩さんによって当時書かれたものです。~


胃痛がひどく、ハンモックに揺られて午前中を過ごしたある日のこと。

軽い昼食をとった後、ハウスキーパーのマウちゃんが声をかけてくれたことには、「今からおばちゃんとジャックフルーツのノム(お菓子のこと)を作るよ」とのこと。胃袋のご機嫌ばかりうかがっていた午前中の気分転換も兼ねて、私もお手伝いすることに。

おばちゃんが手にしていたのは大きなバナナの葉っぱ。カンボジアでは蒸し物や茹で物の包みにバナナの葉っぱが使われているのをよく見かけます。
これを手のひらサイズに裂いていきます。おばちゃん、慣れた手つきで何十枚もの包みを作ってゆきます。包みを作る時点で、そんなに!?というほどの量。私は少なからぬ不安を感じていました。

なぜなら、カンボジアのお菓子はめちゃくちゃ甘いんです。「お菓子は甘くなくっちゃ」と言って、とんでもない量の砂糖を入れるのです。そして出来上がると、「おいしい?もっと食べなさい!」と畳み掛ける。
甘いものは大好きだけれど、こちらの甘味は「超甘味」。
私は、内心ハラハラしていました。(笑)

バナナの葉っぱの包みが出来上がると、今度は大きなボウルにてんこ盛りの白い塊を小脇に抱えて、マウちゃんがやってきました。この白い塊、5分炊きのもち米。そして砂糖で軽く漬けたジャックフルーツ。どんなお菓子を作るのか、ここでやっとピンと来ました。

バナナの葉っぱにもち米を薄く延ばし、その上にジャックフルーツを乗せ、日本でいう海苔巻きのお寿司を作る要領で、くるくるっと巻きます。そうして形を整えて、葉っぱの両端を折り込んで、ひもで結びます。・・・という作業を延々と(笑)。時折カンボジアの歌を唄いながら。

そして沸騰したお湯の中へ入れ、茹でること40分。バナナの葉っぱの独特の香りとともに、アツアツのノムが出来上がりました。
実はこのノム、出来立てよりも1日寝かせた方がおいしいんだとか。

試食にマウちゃんと半分こしたのですが、思ったよりも甘さ控えめで(あくまで「思ったよりも」)、ペロッと食べてしまいました。そして、ここで「もう一個食べなさい」のお声がかかるわけです。お昼ご飯も軽めに済ませていた私は促されるままにもう一つペロリ。
この時点で結構ぎりぎり。そしてもう一声。「おいしいでしょ?もう一つ!」
・・・勘弁してください。

本当においしいのですが、ボリュームが最大の敵。
それをおばちゃんもおっちゃんもマウちゃんも二つ三つは当然のように食べるんです。
日頃、彼らと一緒に食事をしていて思っていたことですが、こちらの方々はほんとによく食べる!こんもりよそったご飯を2杯食べるのがスタンダード。日本の一般家庭用のお茶碗3~4杯分はあろうかという量をペロッと食べてしまいます。
もち米を使ったボリューミーなおやつも、みんなと一緒に笑いながら他愛ない話に花を咲かせて、ひょいぱくひょいぱく・・・。

みんなで作って、みんなで食べる。
食べるという行為ではなく、みんなと一緒に過ごす時間が、カンボジアの人々にとってかけがえのないひと時なのかもしれません。


2012年3月12日
現地インターン 秋塲